十王堂(閻魔王など十王の一覧)甚目寺観音

生前の行いを審議し六道の
転生先を決める仏の化身

十王堂(甚目寺観音)

愛知県あま市にある真言宗の古刹「甚目寺観音=じもくじかんのん」の境内には、「十王=じゅうおう」を祀る十王堂があります。「十王」は仏教思想において死後に生前の「業=なりわい」(行為など)から「六道」の転生先を審議する十尊とされています。よく知られた「閻魔王=えんまおう」は地蔵菩薩の化身とされ、それぞれが菩薩や明王、如来として信仰されています。(十王の姿になると表情は厳しく怖いですね)

平安時代の僧侶「源信=げんしん」により書かれた「往生要集=おうじょうようしゅう」とよばれる仏教書に書かれているということです。このページでは、それぞれの王について写真や役割などを掲載しています。

[目次]

御堂に入りスグ左に鎮座するのが「奪衣婆」で、その次の「泰広王」から時計回りの順番です。

十王の写真は当サイトで撮影し背景を消しています。概要等はwikipedia文化遺産オンライン(文化庁)、および関連する書籍等から引用・要約したものです。

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秦広王(しんこうおう)

秦広王(しんこうおう)

本地 不動明王
審議 初7日目

※本地は「秦広王」に化身する前の仏

最初の審議(三途の川を渡る前で罪の有無を審議)を行う王とされ、仏教の五戒(生前に生き物を故意に殺す、他人のものを盗む、不道徳な性行為、嘘をつく、酒類を飲む行為)を審議するといわれています。

化身前の「不動明王=ふどうみょうおう」は、五大明王の一尊で古来より敵国・疫病退散の守護神とされています。さらに大日如来の化身とも考えられています。大日如来=不動明王=秦広王になりそうですね。また如来は尊格の最上位で、その中でも大日如来は、すべての諸仏菩薩の本地ともされています。穏やかなお姿で衆生を救われたり、怖い表情で苦難を破壊したり、恐ろしいお姿で冥界の判事となって亡者を裁いたり‥凄すぎますね。

初江王(しょこうおう)

甚目寺観音の」初江王(しょこうおう)

本地 釈迦如来
審議 二七日目

※本地は「初江王」に化身する前の仏

秦広王の審議を受けたあとに生前に関わった動物が呼ばれて、亡者についての証言を聞くようです。(いじめられたとか、優しくしてくれたとか聞くのかな?)化身前の「釈迦如来=しゃかにょらい」は、仏教の開祖である釈迦(仏陀)です。

宋帝王(そうていおう)

甚目寺観音の宋帝王(そうていおう)

本地 文殊菩薩
審議 三七日目

※本地は「宋帝王」に化身する前の仏

生前に不貞行為があったかどうか審議されるそうです。化身前の「文殊菩薩=もんじゅぼさつ」は、計りしれない知恵を持つとされています。

「文殊菩薩」のご真言やご利益など

五官王(ごかんおう)

甚目寺観音の五官王(ごかんおう)

本地 普賢菩薩
審議 四七日目

※本地は「五官王」に化身する前の仏

生前に五感に関わる罪(いわれなく怒ったり、他人を中傷するなど)が審議され、閻魔帳に記録するそうです。化身前の「普賢菩薩=ふげんぼさつ」は、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍を務める菩薩で、女性の守り尊として篤く信仰されています。

「普賢菩薩」のご真言やご利益など

閻魔王(えんまおう)

甚目寺観音の閻魔王(えんまおう)

本地 地蔵菩薩
審議 五七日目

※本地は「閻魔王」に化身する前の仏。閻魔王の右隣には地蔵菩薩が鎮座しています。

十王の中でよく知られた存在です。もともとは「閻魔天」と呼ばれ、方角を守護する十二天のひとりで、中国に入ったときに「道教=老子の思想を根本する中国・漢民族固有の宗教」と結びついたとされています。それぞれの王が生前の行いの審議を記した閻魔帳から、六道(天上界・人間界・修羅界・畜生界・餓鬼界・地獄界)の転生先を決めるそうです。

冥界の支配者、十王では最高王とされています。(裁判所の長官のような存在ですね)また現世で人を救うとされる地蔵菩薩の化身とされますが、菩薩は如来になるための修行の姿で、阿弥陀如来の化身である五道転輪王など如来化身より、ひとつランクが下がります。十王に化身すると変わるようですね。名前の由来は三蔵法師がインドから携えた経典を中国語に訳すとき、経典のヤマをエンマと訳したためと伝えられています。

お地蔵様は現世では優しく人々を守ってくれるけど‥
冥界では怖い閻魔様になるんだ。
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変成王(へんじょうおう)

甚目寺観音の変成王(へんじょうおう)

本地 弥勒菩薩
審議 六七日目

※本地は「変成王」に化身する前の仏

六道に転生したのちに、それぞれの内容が決まるそうです。たとえば地獄界には「八大地獄」と呼ばれ罪の深さにより分類されています。畜生界にも虎などに生まれ変わる場合と、家畜など食べられる動物になる場合、人間界でも豊かな国、貧しい国、天上界であってもいくつかに分かれており、天界に転生しても悪さすると別の世界に落とされることがあるようです。

化身前の「弥勒菩薩=みろくぼさつ」は、釈迦の入滅後56億7000万年後に現れ、人々を救済するために修行と瞑想を続けている仏さまということです。

泰山王(たいざんおう)

甚目寺観音の泰山王(たいざんおう)

本地 薬師如来
審議 七七日目

※本地は「泰山王」に化身する前の仏

泰山王は太山王とも呼ばれます。六道のうち人間界に輪廻転生する時の男女の性、寿命を決められるということです。化身前の「薬師如来=やくしにょらい」は、医薬にご利益がある仏さま。また怨霊をも屈服させる力をもつとされています。

平等王(びょうどうおう)

甚目寺観音の平等王(びょうどうおう)

本地 観音菩薩
審議 百か日目

※本地は「平等王」に化身する前の仏

残された遺族が死後100日目の法要を行うことにより、再び審議され遺族にも亡者にも功徳があるとされています。化身前の「観音菩薩=かんのんぼさつ」は、現世利益を与えてくれる仏さまとして篤く信仰されています。

都市王(としおう)

甚目寺観音の都市王(としおう)

本地 勢至菩薩
審議 一回忌

※本地は「都市王」に化身する前の仏

一周忌法要によって再び審議する王ということです。化身前の「勢至菩薩=せいしぼさつ」は、阿弥陀如来の脇侍として祀られることが多く、迷いと戦いの世界の苦しみから知恵を持って救うとされています。

「勢至菩薩」のご真言やご利益など

五道転輪王(ごどうてんりんおう)

甚目寺観音の五道転輪王(ごどうてんりんおう)

本地 阿弥陀如来
審議 三回忌

※本地は「五道転輪王」に化身する前の仏

三回忌法要で亡者救済の最後の審議を行う王ということです。五道とは地獄界・餓鬼界・畜生界・人間界・天上界で仏教初期のころの分類です。その後に修羅界が加わり六道になっています。化身前の「阿弥陀如来=あみだにょらい」は、極楽浄土を管轄し人々を極楽まで導く存在とされ、本尊として祀る寺院が多いです。

「阿弥陀如来」のご真言やご利益など

十王の並び順

十王堂に入りすぐ左側に鎮座してる像は「奪衣婆」です。その右隣から、秦広王、初江王‥と続き、中央に閻魔王その右側には釈迦如来が祀られ、続いて変成王‥五道転輪王です。十王堂の参拝は無料で開門されている間は自由に出入りできます。

秦広王 初江王 宋帝王 五官王 閻魔王
変成王 泰山王 平等王 都市王 五道転輪王
十王に関連すること
奪衣婆

十王堂には「奪衣婆=だつえば」さまが祀られています。

奪衣婆(だつえば)の像

「奪衣婆」は現世と冥界の境目にあるとされる「三途川=さんずのかわ」を渡る前に、亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の姿をした鬼といわれています。十王に審議される前に、どこから「三途川」を渡るか決められるそうです。納棺のときに六文銭(現代では今のお金)を入れる習わしは、奪衣婆にお金を渡し衣服を剥ぎ取られずに三途の川を渡ることが目的のひとつとされています。民間信仰では疫病除けや咳止めのご利益があるされ、祀られてる寺院もあるそうです。

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六道とは

仏教思想による「六道=ろくどう」は生前の業によって、死後に「十王」により審判され転生する6つの世界といわれています。それぞれの世界もさらに複数のランクがあるということです。六道については、詳しく解説されたサイトが多くあります。一般に解説されている内容は下記のとおりです。

  1. 天道(てんどう):天界とも呼ばれる世界。楽が多く喜びにあふれている一方、死への恐怖が強い。
  2. 人間道(にんげんどう):いま我々が生きる世界で、生老病死、四苦八苦、怨憎会苦など、さまざまな苦しみがある無常の世界。
  3. 修羅道(しゅらどう):戦いと争いが絶えず、苦しみと怒りが続く世界。阿修羅の手下として天神と戦うも必ず敗死する。
  4. 畜生道(ちくしょうどう):常に飢えと乾きに苦しむ世界。食物や飲物は手に取ると火に変わってしまうそうです。
  5. 餓鬼道(がきどう):常に飢えと乾きに苦しむ世界。食物や飲物は手に取ると火に変わってしまうそうです。
  6. 地獄道(じごくどう):生前の罪を償わせるための世界。鬼によぅて体を砕かれたり、斬られたりする責め苦が続く世界

多くに寺院に祀られている「六地蔵=ろくじぞう」は、六道にあって生きとし生けるものの苦しみを救うとされています。

六地蔵尊

宝珠院(名古屋市)に祀られている六地蔵菩薩

般若心経の全文と音読

甚目寺観音

甚目寺観音

愛知県あま市にある真言宗の寺院で、1400年以上の長い歴史がある古刹。尾張四観音の筆頭寺院とされています。同寺院のあらましや境内の写真をこちらに掲載しています。

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尾張四観音(荒子・甚目寺・龍泉寺・笠寺)

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#十王堂 #閻魔 #甚目寺観音

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