Araco Kannon
[目次]
円空仏は国内最多の所蔵
「荒子観音=あらこかんのん」は尾張四観音のひとつで、名古屋市中川区にある「天台宗」の寺院です。奈良時代にあたる天平元年(729年)「泰澄(たいちょう)=奈良時代の修験僧」が開基されたと伝えられ、1300年近い歴史があります。ご本尊は「聖観音菩薩」です。また円空仏の所蔵は国内最多といわれています。令和7年(2025年)の恵方観音になります。
正式名は「浄海山圓龍院観音寺」です。行事のない平日は静かな時間が流れ、ゆっくりと参拝できます。本堂は幾度も焼失や倒壊にあい、現在の本堂は1997年(平成9年)に再建されたということです。
再建の記録[表示]
- 1994年の火災で焼失後に再建
- 1945年の三河地震で倒壊・再建
- 1891年の濃尾地震で倒壊・再建
- 江戸時代(1655~58)、(1804~18)に火災で焼失後に再建
- 1576年:前田又左衛門利家により再建
▲山門(仁王門)
本堂内
ご本尊の「聖観音菩薩(泰澄の自作と伝えられる)」は33年に1度だけ開帳されということです。
聖観音菩薩のご利益と真言
衆生救済のための菩薩とされ、現世利益を授けるといわれています。
- 厄除け
- 開運
- 病気の平癒
- 苦難除去
ご真言オン アロリキャ ソワカ
御朱印
御朱印(2024年現在で500円)も授かっています。本堂の左側に受付があります。ただ平日は不在の時もあります。「円空仏」の公開日である毎月第2土曜日(午後1時から4時)や、休日などが良さそうです。遠方からの参拝では事前のご確認をおすすめします。
境内には多くの歴史建築があります
(1)多宝塔
1536年の造営された「多宝塔」は国の重要文化財に指定されています。屋根は「こけらぶき」といわれ、室町時代末期の特色(上層は唐様、下層は和様)で、名古屋市内でもっとも古い建築物ということです。(2024年時点で480年近く前)
観音寺は浄海山圓龍院と号し、天平元年(729)泰澄の草庵と伝えられる。
多宝塔は天文五年(1536)五月当時の住僧常住院賢俊の再建で。大工棟梁は熱田の岡部甚四郎といわれる。三間多宝塔、屋根は柿葺で、室町時代末期の特色をよく表しており、市内最古の建物で国の重要文化財に指定されており、平成13年に解体修理が完成した。尾張四観音の一つで、俗に荒子の観音の名で親しまれている。名古屋市教育委員会から引用
▲「こけらぶき」の屋根
(2)六角堂
境内の六角堂には「傅大士=ふたいし(じ)」が祀られています。傅大士は中国の南北朝時代(439年-589年)に実在した仏教者で、両脇の像は傅大士の子ども(左が普建童子、右が普成童子)ということです。傅大士は「笑い仏」とも呼ばれているそうです。
(3)護摩堂
境内の護摩堂(ごまどう)には「不動明王」が祀られています。不動明王は怖いお姿が多いですが「大日如来=真言密教の教主とされる仏」が姿を変えた化身ともいわれ、疫病退散の守護神です。
(4)鐘楼
毎年12月31日には「除夜の鐘」が突かれます。(毎年およそ1500人)初詣はお正月3が日だけで1万人を超える参拝者が訪れるということです。
大晦日の夜に鐘を108回突くことはよく知られています。大晦日は除日(じょじつ)ともいわれ、この”除”には古いものを捨てる意味があるそうです。108回の数については、人は108の「煩悩=ぼんのう」を抱えており、1つ突くごとに消し去り新年を迎える願いがあるようです。(”突く”は、正しくは”撞く”です)
108の煩悩ってなに?[表示する]
人間の感覚器官は{目・耳・鼻・舌・身・意(意識)}の6つといわれ、それぞれが下記の3つの煩悩を抱えているといわれます。
(5)国内最多の円空仏
荒子観音には国内最多(1,266体)の円空仏が保存されているということです。円空仏は仏像彫刻である江戸時代の「円空」(1632年-1695年)による木彫りの仏像です。円空仏は毎月第2土曜日の午後1時から4時まで公開されています。筆者も2024年に拝観しています。
(6)その他の写真
弘法大師(空海)は本堂右側の堂に祀られています。また境内には多数のお地蔵様も祀られています。写真は拡大表示します。
本坊 | 弘法大師 | お地蔵様 |
案内図(Googleマップ)
住所は愛知県名古屋市中川区荒子町字宮窓138。拝観時間は午前7時から午後5時です。
地下鉄で行かれる方
東山線の「高畑駅」を下車。⑤番出口を出て左方向、最初の信号を渡り左折し道なりに進む。「荒子観音西」の標識がある手前の信号(時差式)です。
所要時間は「荒子観音の東門」まで、徒歩で約9分です。(冬の晴天の日に、ややゆっくりで歩いた実測時間です。途中信号が2か所あり、待ち時間がない場合です)
⑤番出入口 | 最初の信号を渡り左折し道なりに進む |
⑤番出入口は改札から遠い場所で、少し距離があります。また左折する信号交差点の右側(反対車線側)には、「JAなごや」の建物があります。
おもな年中行事・イベント
- 2024年12月31日(火):23時45分~(毎年およそ1,500人程が訪れます)一般の方も突くことができ回数に制限がないということです。例年500円(当日ご確認)
- 2025年1日(水)~3日(金):初詣
- 2025年2月2日(日):節分祭{2025年の節分は2日(日)になります。立春は3日(月)です}
毎月第1日曜日:荒子円空の朝市(2025年は発表されたあと掲載)
「円空市」は野菜や雑貨、古着、五平餅、菓子などの販売がされ賑わいます。雨天の場合は中止になることがあります。
尾張四観音を巡礼
甚目寺観音 | 龍泉寺 | 笠寺観音 |
「なごや七福神めぐり」もおすすめです
公共交通機関では「一日乗車券(土日祝日はドニチエコきっぷ)」を利用すると便利です。1日で7か所の寺院を巡る計画も可能です。
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